きいろみずいろ

地方住み。2人の姉妹の母。時短フル。日常と経験と想いを綴ります。

現代のライフスタイルそのものが人を引きこもらせる要因となる。『ストレス脳』

つくづく、脳の病気だと思う。

 

うつは「心の風邪」と呼ばれるが、

実感としては、「脳の疾患」だ。

 

心は脳でもあり、脳は身体でもあり、身体は心でもある。

うつになると、この3つの機能が正常ではなくなる。

この3つは円のような関係で、どこが始まりか、どこが最も大切かなどは、

分からない。

だから、「心の風邪」は、心に主要な問題があるように感じるので、

誤解を生む表現だと思っている。

(誰にでもかかりうる病気だ、という意味の表現なのだとは思うが)

精神科医の著者による人類の脳や精神、身体の考察の本。

前作『スマホ脳』の方が有名かも。

 

ちょうどうつになったころタイムリーに発売されて、夫が買ってきた。

それが、「バナナ食って走ってこーい。」につながる。

yu-rari.hatenablog.jp

 

以下、要約。

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私たちの脳は、1~2万年前から大きく変化していない。

「生存」するために「不安」や「防御」は必要なメカニズムであり、

常に健康な精神状態で幸せに生きることはできない。

 

脳は、ストレスを感じて「炎症」状態となったとき、

行動を抑制し、人を引きこもらせる。

この免疫反応が長時間に渡った状態が「うつ」である。

 

対人関係や過去のトラウマといった出来事はうつを引き起こす

要因として知られているが、一方で、

「運動不足」「座りっぱなし」「睡眠不足」「孤独」といった

現代のライフスタイルそのものが、1~2万年前の人類のそれと

明らかに違っており、脳にとって強い「炎症」要因となる。

 

また、このようなストレスが何か月、何年単位と長期間続くとき、

うつをひきおこしやすい。

一方で、どんなストレスを受けようともうつにならない人もいる。

それは、「うつへの脆弱性」が遺伝子で決められているからであり、

「遺伝子が弾を込め、環境が引き金を引く」と表現できる。

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私は、この本を読んで「私はうつになるべくしてなった」と悟った。

 

職場でパワハラやいじめがあったわけではない。

夜も寝られないほどの仕事のプレッシャーや、

毎日の持ち帰り仕事があったわけでもない。

ワンオペではなく、夫の協力を得られていた。

 

なのに。

なぜ?なぜ病気になった。なぜ自分はこんなに弱いのだ?

そうやって自分を苦しめて苦しめた。病気は一層悪くなった。

 

でも、この本のおかげで自分は特別弱いから病気になったんじゃない、

と思えた。

 

「運動不足」「座りっぱなし」「睡眠不足」「孤独」…その他いろいろ。

特別大変なことが起きたわけじゃない。

でも環境は、確実にじわじわ自分を追いつめていた。

そして、私には「うつへの脆弱性(遺伝要因)」がある。

「~しなくちゃいけない」思考などの性格的要因もある。

 

確かに、直近仕事内容が変わるなどの環境変化があり、引き金を引いた。

でもたぶん積み重ねたストレスは、1年単位の話ではない。

少なくともここ2,3年は思い当たる症状があったのに知らないフリをした。

 

まさに「遺伝子が弾を込め、環境が引き金を引く」

だから、私は人生でいつかは、うつになっていたんだろう。

ここで足止めしなければ、気が付かなかった。必然だったのだと。

 

それから、脳に関する本を読むなどして、脳や病気に対する

客観的な理解を深めた。

心、身体、脳のうち、一番ダイレクトにアプローチができるのは、

身体であると考え、運動を始めた。

もちろん、医学的治療も受けた。十分に休養もした。

(薬が効いてから、ようやく本を読むとか身体を動かそうとか思えた。)

そうして、回復に向かったと思う。

 

絶妙なタイミングでこの本に出会えて、本当に良かったと思う。

 

 

 

ゆうらり